2010/02/28
今日はエンゼルバンク(11)を読んでました。この漫画は、大ヒットした受験漫画「ドラゴン桜」の続編で、転職代理人の主人公が、様々なビジネスネタを紹介する漫画です。エピソード毎の出来不出来はありますが、なかなか面白いです。
で、11巻の終盤で、桂木(主人公の同僚)が会社を辞めて起業する、ってエピソードがあるんですが、これがなんとも奇妙。特許ネタが絡んでるんですが、大体こういった漫画や小説で特許が出てきた場合、その内容はめちゃくちゃですね…。
【起業エピソードのストーリー】
1.桂木の東大の同級生の研究者が、4年間かけて触感ディスプレイの研究をした。
2.しかし、その内容は、アメリカで1年前に既に特許化されていた(?)
3.そのせいで、同級生の苦労は水の泡になった。
4.それを防ぐために、桂木は特許調査の会社を作ることにした。
5.日本の特許制度は、無意味に複雑である。
6.日本の特許費用は高すぎる。
7.5-6より、日本は大企業ばかりが特許をとって、中小企業は全然取れていない。
8.桂木の調査システムがあれば、これらの問題は解決して、日本の中小企業が再活性するはず(?)
という話なんですが…。
【patesukeの感想】
これを読んで、思うところは色々あるんですが…(ディスプレイ分野なら、日米の特許調査ぐらいしようよ、とか)。
一番の問題は、
「いったいどんな調査システムを作れば、そんなことが可能なのか?」ってことです。というのも、特許調査って、凄く難しいんです。
そもそも、既に、特許調査のデータベースを作っている会社ならたくさんあります(有名どころでは、patris等)。でも、優れたデータベースがあれば、重複研究を避けられるかと言えば、全然そんなことはありません。なぜかと言うと、
「発明を言語で表現することが、凄く難しい」からです。
例えば、Nintendo DSを思い浮かべて見て下さい。あれは非常に新しいデザインのゲーム機だと思いますが、DSのどんなところが発明でしょうね?画面が2つあること?ペンを使うこと?タッチパネルと普通の画面を組み合わせていること?十字キーやAボタンとかとの組み合わせ方?
とまあ、こんな具合に、
発明を言語化するのは、非常に難しいことなんです。「Nintendo DSの特許があるかどうか調べてよ!」と言うような調査は、現状では、お金をかけてプロにやってもらわないと出来ません(いずれあいまい検索が発達すれば、ひょっとしたら可能かもしれませんが)。
だから、
作中の桂木がどんなシステムを作ったとしても、それを使う人は相当の経験をつまないと、調査なんて出来ないはずです。作中では、具体的にどんなビジネスなのか明らかにならないまま、なぜか桂木はビジネスを成功させてしまったんですが。
特許調査は、そんな甘いものではないはずですよ…。
やっぱり、特許ネタが出てくると、どうしてもあらが気になっちゃいますね(笑)。他のエピソードは面白い話もたくさんありますので、良かったらぜひ。
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